ロマネリーグも折り返し
毎年、梅の咲く頃に、記者たちの本当の春が始まる。
今年も例年通り2月22日に各地で6試合、オープン戦であるロマネ
リーグが開幕した。キャンプで調整してきた選手たちが、ある者は1
軍切符をかけて、ある者はシーズン開幕をにらんで、その成果をグ
ラウンドの上で表現するわけだが、思い通りの結果が出てにんまり
する者もいれば、自らの期待を裏切り、うなだれてベンチに引き下が
る者もおり、まさにこの時期は百花繚乱とでも言うべき人生模様が展
開され、新たなシーズンに向けた幕間狂言に記者たちも胸を躍らせ
ている。
さて、そんな悲喜交々のロマネリーグも、3月12日までにすでに半分
の12試合を消化し、いよいよ同一リーグチームとの対戦始まるわけ
だが、折り返し地点を迎えて、ここまでの戦いぶりと、個々人の中間
評価を書き連ねよう。
まずチームだが、いきなり開幕から丸の内、横浜と4連敗。札幌戦で
ようやく白星を挙げ、その次の鹿島との対戦も含めて2勝2敗とここか
ら盛り返すか、と意気上がるファンの期待を裏切り、続く東京、明石に
また4連敗、いくら戦力テストの場という側面があるにせよ、12試合消
化時点でなんと2勝10敗、ヴィ、マ、両リーグダントツで最下位という
不甲斐ない成績に留まっている。
原因を探るとすればやはり、投打のちぐはぐさに尽きるだろう。とにかく
このオープン戦では、打者が結果を残した試合は先発、中継、そして
抑え投手までもがそのリードを守れずに敗戦、逆に投手ががんばると、
打線は相手投手に沈黙、と面白いまでに対照的な結果に終わっている。
マ・リーグチームとの対戦に向けて不安を感じざるを得ない。マーリン、
苅谷といった投打の主軸の参戦でどこまでこのアンバランスさを解消
出来るか、それがシーズンに向けた課題であろう。
個人成績を見ると、開幕1軍を目指す新戦力の中で明暗がわかれた。
成功組はまず、安沢であろう。序盤こそ調子が出なかったが、その後
は堅実に実力を発揮。打率が少々物足りないものの、本塁打4、打点
10と勝負強いところを見せている。
ドラフト4位で熊本・東稜高校から入団した真辺も元気一杯、シュアー
なバッティングとはつらつとしたリードで、関係者を喜ばせている。
真辺に刺激されたのか、ドラフト1位で入団した板橋も飛ばしている。
出場機会を与えられると最初は緊張気味だったのか、打ち損じが目
立ったが、2、3戦して慣れてきたのか、その後はコンスタントに成績
を挙げ、こちらも首脳陣にアピールしている。
投手に目を向けると、先シーズン、札幌を自由契約となった後、トライ
アウトに合格して伊勢に入団した、西園寺、甲賀の左投手コンビが中
継ぎで出色な出来を示して、1軍入りを強烈にアピールした。負けじと
がんばったのがドラフト2位の田原辰。調子のムラは気になるものの、
それでもなかなかの投球術を披露、一躍先発候補に名乗りを挙げた。
意外な活躍で記者の目を引いたのは、ドラフト5位の田沢信。最初の
登板こそ、初回からメッタ打ちに遭い、プロの洗礼を浴びたが、2度目
の先発としてマウンドに上がった鹿島戦ではレギュラークラスも顔を
揃える鹿島打線を粘り強く抑え込み、オープン戦とはいえ、自身プロ入
り初の完投勝利を挙げ、今後の成長に期待させた。
逆に今までの試合で結果を残せていないのは、まず則武、先発候補
として宇都宮から移籍したが、登板した3試合、いずれもぴりっとせず、
持ち味を出し切れなかった。ドラフト3位で入団の高卒ルーキー、楠も
やはり荷が重かったか、いいところなく登板を終えている。
さらに期待の若手に目を向けると、2008年度のドラフト1位、遠藤が
これまた良くない。2試合に登板するも、全くいいところなく、佐治監督
もあまりの出来の悪さに2軍を明言するなど、春はまだ遠いといったと
ころか。
マ・リーグとの残り10試合を終えると、いよいよ待ちに待ったシーズン
インとなるが、現在の調子からどこまでチーム力をアップさせることが
出来るか、すべては佐治監督の手腕にかかっている。開幕を楽しみに
して待ちたい。